防護服の着脱について 「第3回 クリーンウェア編」

防護服の着脱について 「第3回 クリーンウェア編」

はじめに

 防護服は、着用中だけでなく着脱時にも感染や汚染のリスクが伴います。特に医療現場や化学物質を扱う環境では、手順の違いや注意点を理解することが不可欠です。

全3回の本シリーズ記事では、感染症対策用防護服や化学防護服、クリーンウェアなどの着脱方法について、ポイントを押さえて解説します。

第3回はクリーンウェアの着脱についてです。

 

第1回感染症対策用防護服の着脱についてはこちら

第2回化学防護服の着脱についてはこちら

 

目次

■クリーンウェアの着脱手順の重要性

■クリーンウェア着衣のポイント

■クリーンウェア着衣の注意点

■クリーンウェア脱衣のポイント

■まとめ

 

 

クリーンウェアの着脱手順の重要性

 防護服の着脱については、これまで「第1回 感染症対策用防護服編」「第2回 化学防護服編」と回を重ねてきましたが、今回ご紹介する「クリーンウェア」は少し毛色が異なります。

防護服は通常、有害物質から身を守る(身体への接触、体内への取り込みを防ぐ)ために着用します。クリーンウェアについても、培養中のウイルスや病原体などの有害物質から身を守る目的もありますが、主たる目的は、それらの作業を行っているクリーンルーム*への異物混入(人の体から発する塵埃・毛髪などの飛散や落下)を防ぐことです。そのため、クリーンウェアを正しい手順で着衣する必要があります。

 

*クリーンルームについては別の記事で詳しく説明していますのでご覧ください。

クリーン分野向けブランド「AZ CLEAN® SE」について

 

 

クリーンウェア着衣のポイント

 クリーンウェアの着衣ポイントについて「デュポン™タイベック®アイソクリーン®IC193DS」を例に挙げながらご紹介します。

こちらはフード、シューズカバーが一体型となった続服でダブルパッケージとなっています。今回は他に滅菌済のマスク・ゴーグル、手袋との組合せで紹介します。

クリーンウェア着衣の基本は服の外側を触らないように着る事です。

 

まずは更衣室を高クリーンゾーンと、低クリーンゾーンに分けます。スノコなどを置いても良いですし、テープ等を貼ってゾーンを分けても構いません。

 

パッケージを開きます。(服の内側がつかみやすいように、ファスナーは開いた状態で包装されています。)

内側のラベルを掴みながら、足部分を下に垂らします。この際、床に服がつかないように注意します。

 

はじめに、着衣中に袖やズボンの裾が床につかないよう、内側からたくしあげておきます。できるだけたくし上げ、脚丈を短くしておくことで、足を通す時に服のシューズカバーの底が床につきにくくなります。両足ともたくし上げたら片足を入れつま先まで通します。服を着装した足は前述の高クリーンゾーンへ置くようにしましょう。椅子を使用する場合も、はいた足を高クリーンゾーンに置ける様に、椅子を配置しておきます。

防護服の着脱について 「第3回 クリーンウェア編」 

足を通した後、片方ずつ腕を通します。フードは内側を持ちながら被り、ファスナーを一番上まで上げます。ファスナーを上げる時は周りに触れないようにスライダーのみをつかみ、上を向いてスムーズに上げます。

 

続いてサムループに親指を通します。その後マスクを装着しノーズクリップの調整をします。次にゴーグルを装着します。この際、レンズ部を触らないように注意しましょう。顔回りの毛髪など、細かい箇所を鏡を見ながらチェックしましょう。

 

最後に表面を触らないように注意しながら、続服の袖に被せるように手袋を着用します。

これで着衣の完了です。着衣中は必要に応じて手指の消毒を行ってください。

 

クリーンウェア着衣の注意点

 クリーンウェアはサイズの合ったものをご使用ください。サイズが大きいと床や壁に付く恐れがあります。

また、シワの発生が少ない事がポイントです。安全キャビネットに腕を入れて作業を実施する場合にクリーンウェアの腕表面にシワが出来ると、シワ部分から外気が安全キャビネット内に侵入して、内部の汚染につながる可能性があります。

 

服の外側を触れないように着る必要があります。袖やズボンの裾を外側から引っ張らないようにしましょう。ファスナーを上げる時に服の外側を押さえないようにしましょう。

防護服の着脱について 「第3回 クリーンウェア編」

 

クリーンウェア脱衣のポイント

 脱衣手順は施設によって規定が異なります。ここでは参考例として説明します。

クリーンウェアを脱ぐ場合は、次の区域に移動する前に汚染物質を持ち込まない事を考慮します。

 

最初にアウター手袋を外します。片方の手袋を裏返しながら外します。裏返った手袋でもう一方の手袋を掴み、同様に裏返しながら外します。

次にゴーグルを外します。レンズの表面を触らないようにバンドをつかむ事がポイントです。

続いてマスクを外します。同じく表面は触らないようにしましょう。

 

ファスナーを下ろしフードを外します。服の外側を触らないように注意しながら、外側へ丸め込むように脱いでいきます。

防護服の着脱について 「第3回 クリーンウェア編」

汚染の可能性のある物質が飛散しないように静かに廃棄袋に入れます。国や地方自治体の指示に従い適切に廃棄してください。

 

クリーンウェアの着脱についてはこちらの動画で詳しく説明しています。

【動画】デュポン™タイベック®アイソクリーン®無塵衣(2次ガウン)の着脱方法

 

まとめ

 本記事では、クリーンウェアの着脱について解説しました。

クリーンルームでは人や物の流れの動線が厳しく管理されています。異物の混入を避ける為の様々な環境が整っていますが、人が持ち込む異物を極力少なくする為に、クリーンウェアの着脱を正しく行う事が重要です。

クリーンウェアの製品や着脱についてはお気軽にご相談ください。

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製品情報

本記事で紹介した製品の詳細はリンク先からご確認ください。

デュポン™タイベック®アイソクリーン®IC193DS 続服 フード・ブーツ一体型 Wパック

AZ CLEAN SE 33018 続服

 

 

 

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