SELECTION & USAGE防護服の選び方・使い方

適切な防護服を選択するためには、化学物質と作業内容から適切なリスクアセスメントを行った上で、
耐透過性などのデータに基づいて防護服を選ぶことが重要です。
ここでは、設問に答えることで適切な防護服を選べるようなガイダンスを作りました。

リスクアセスメントと
保護具の選定
Risk Assessment and Selection

リスクアセスメントとは

「労働安全衛生法」の改正(平成28年6月1日)により、一定の危険有害性のある化学物質※について、事業場におけるリスクアセスメントの実施が義務付けられました。リスクアセスメントとは、化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害を生じる恐れの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討することをいいます。
業種や規模を問わず、製造や取り扱いに関わるすべての事業者が、リスクアセスメントを行わなければなりません。
対象物質:674物質(令和3年1月1日時点)
※安全データシート(SDS)の交付義務対象である物質

リスクアセスメントの基本的な手順

  • 危険性・有害性の特定
  • 危険性・有害性ごとのリスクの見積もり
  • リスク低減のための優先度の設定・リスク低減措置内容の検討
  • リスク低減措置の実施
    • (1)…設計や計画の段階における措置:危険な作業の廃止・変更、有害性の低い材料への代替等
    • (2)…工学的対策:ガード、インターロック、安全装置、局所排気装置等
    • (3)…管理的対策:マニュアル整備、立ち入り禁止措置、ばく露管理、教育訓練等
    • (4)…個人用保護具の使用:上記で除去・低減しきれなかったリスクに対して実施するものに限る
  • リスクアセスメント結果の労働者への周知

※参考 「事例でわかる職場のリスクアセスメント」(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/110405-2.html 最終閲覧日2022年6月9日)より引用

防護服・保護具の
選択フローチャート
Flowchart

STEP1で防護服の素材を選択し、STEP2で防護服の形状を決定します。まずはQ1からご回答ください。

STEP1:防護服の素材を選ぶ

【Q1】対応する化学物質が特定できていますか?

【Q2】対応する化学物質の形状(性状)は?

【Q3】化学物質の引火性/可燃性はありますか?

【Q4】引火性/可燃性がある場合の注意点

※引火性/可燃性について
火気の近くや高温環境では、当社のほとんどの防護服はご使用いただけません。防護服を使用する場合は、必ず火気や高温のリスクを除去、もしくは低減させてからご使用ください。
【参考】
消防庁のマニュアルでは、ガス検知器で現場のガス濃度を調べ、可燃性ガス濃度が高濃度(爆発下限界値の30%を超える濃度)のときは、突入せず、換気・散水など、発火のリスクを下げてから現場に入ることとなっています。詳しくは総務省消防庁(https://www.fdma.go.jp/)「平成28年度救助技術の高度化検討会報告書」をご覧ください。

【Q5】まず化学物質から適した防護服素材を調べましょう

STEP2:防護服の形状(全身防護服、部分防護服)を選ぶ

【Q6】身体のどの部位(全身・顔、上体・足元、下半身など)を守る必要がありますか?

ANSWER

【A1】対応する化学物質が不明な場合は最高レベルの防護をしましょう

ご提案製品:デュポン™タイケム®10000
 ※火気や高熱のある環境ではご使用できません。
 ※タイケム®10000は自給式呼吸器を使用するため、使用できる時間に限度があります。
 ※安全にご使用いただくには、トレーニングが必要です。

【A2】全身防護が必要な場合は、つなぎタイプの全身防護服を。

ご提案製品:デュポン™タイケム®10000、6000、2000 続服
※ケミカルデータベースで透過データ欄に記載のある時間内での使用に限ります。
<採用事例>
・貯蔵タンクからの液体漏えい対応(半導体メーカー)
大地震の影響で貯蔵タンクが傾斜したことにより、隙間から硫酸が漏えいした。硫酸は皮膚毒性があるのと、対応する液体の量が多いことからリスクが大きいと判断し、タイケム®10000を採用。

【A3】部分防護が必要な場合は、部分防護服を。

ご提案製品:デュポン™タイケム®6000、2000 ガウン・エプロン・アームカバー・シューズカバー
※ケミカルデータベースで透過データ欄に記載のある時間内での使用に限ります。
<採用事例>
・体の前面・足元の防護(石油精製事業者)
無鉛ガソリン(CASNo.86290-81-5)をタンクローリーに充填する際に、以前は全身を防護するタイケム®6000つなぎ服を使用していたが、万が一ばく露をしても下半身のみなので、タイケム®6000ガウン・シューズカバーを選択し直した。背開きのガウンにすることで、暑熱対策にも有効となった。

【A4】固体(粉じん)の防護装備は、粉じん対応防護服を。

ご提案製品:デュポン™タイベック®ソフトウェアⅢ型
※粉じん爆発の危険性がある環境では、防護服はご使用いただけません。粉じんを除去すること、爆発の可能性のある装置の除去を優先してください。
※極微粒子、液体スプレーなどを扱う作業ではご使用いただけません。
<採用事例>
・石綿除去作業
隔離空間において、石綿含有吹付け材の除去(レベル1作業)では、石綿が直接皮膚に付着することを防ぐために、タイベック®ソフトウエアⅢ型、電動ファン付き呼吸用保護具を使用。
・製薬工程の秤量作業
高薬理活性物質の研究施設で、ばく露防止のためにタイベック®ソフトウエアⅢ型、電動ファン付き呼吸用保護具を使用。

正しい着衣・脱衣方法、
訓練の必要性
The Need for Correct Law and Training

選択した防護服の性能を100%発揮させるためには、正しい方法で着る必要があります。また、正しく脱衣することで、
化学物質を繰り返しばく露することを防げます。

GOOD!
○呼吸用保護具は、防護服の内側に装着。
×防護服の上から装着すると、脱ぐときにマスクから外さないといけないので防護服に付着した化学物質を吸い込むリスクが!
GOOD!
○作業する位置(手を向ける位置)により、手袋と袖口のつなぎ目を上下に変えると有効。つなぎ目を耐透過性、耐浸透性に優れたテープでテーピングするとより安全。
×手袋と防護服の隙間から化学物質が入り込む可能性が!

ここが弱点
Weaknesses

火気厳禁
難燃性のない防護服の素材の端に炎が接すると、どんな現象が起こるかの実験動画です。熱や炎のある環境や、可燃性ガス濃度が高まる環境では、難燃性のない防護服は使用できません。
撮影協力:一般財団法人 カケンテストセンター
突き刺しに弱い
画像の防護服素材は、JIS T 8115化学防護服に規定されている突刺強さの要求事項は満たしますが、
工場内等にある先端の尖ったものや身につける工具などによる突き刺しには注意が必要です。
暑熱対策が必要
ばく露する危険物からの防護性を高めると、服内部からの汗や熱を逃がしにくくなります。
暑熱環境へ徐々に体をならすことや、プレクーリング、作業時間の短縮などの対応が必要です。

導入・教育サポート
Introductory / Educational Support

保護具を安全にご使用いただくためのサポートを行います。

導入サポート
現場などに伺い、化学防護服の導入サポートを行っています。お客様の作業環境、作業内容、リスクなどを考慮し、適切な化学防護服を提案します。


・レベルプロテクションに応じた適切な着衣、脱衣のデモンストレーション
・感染症防護対策キットの適切な着衣、脱衣のデモンストレーション
・適切な袖、裾のテーピング方法等
教育サポート
当社の担当者は、保護具に関するさまざまな技術的支援を行うため、保護具のアドバイザー(公益社団法人日本保安用品協会)の資格を取得しています。お客様が化学防護服を新たに導入される際には事業所を訪問し、化学防護服の着脱や使用方法などの説明をさせていただく他、現場の状況に応じた教育プログラムを実施します。

お気軽にご相談ください。

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