SELECTION METHOD防護服の選び方

適した防護服・保護具の選び方
How to Choose

感染のメカニズムが分かったら、これから行う作業のリスク評価を行い、適切な防護服を選択しましょう。
ここでは、病原体のリスク評価と作業内容から、どのように防護服を選べばよいか、解説します。

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リスク評価と作業内容から、防護服・保護具を選ぶ
Risk Assessment and Work Content

リスク評価

対面する病原体(ウイルスや細菌)の性質を理解することが適切な防ぎ方につながります:感染経路、罹患した場合の重症度、治療薬の有無
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作業内容

どんな作業のときに病原体に近づくのか?

リスク評価の実施

病原体によって、感染経路や治療薬の有無、もし発症した場合の重篤度などは異なります。対応が想定される病原体のリスク評価を行い、適した装備を備えることが重要です。

例1:エボラ出血熱

感染経路 エボラウイルス病患者、またはエボラウイルス感染動物の血液などの体液と直接接触した場合に感染する。
重篤度 出血を伴い、非常に重篤。
ワクチン・治療薬 承認されたワクチンや治療薬はなく、対症療法が基本。

※参考 「エボラ出血熱とは」(国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/342-ebola-intro.html 最終閲覧日2022年6月3日)

例2:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

感染経路 咳や飛沫を介して起こる。
重篤度 高齢者や心臓病、糖尿病等の基礎疾患を患っていた人では、重症の肺炎を引き起こすことが多い。その他、高熱、下痢、味覚障害などさまざまな症状が見られる。
ワクチン・治療薬 ワクチンあり。

※参考 「コロナウイルスとは」(国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html 最終閲覧日2022年6月3日)

例3:ノロウイルス

感染経路 食品などによる経口感染、嘔吐物などによる飛沫感染。
重篤度 嘔吐や下痢など急性胃腸炎症状を起こすが、多くのケースが数日の経過で自然に回復する。
ワクチン・治療薬 ワクチンなし、対症療法が基本。

※参考 「ノロウイルスとは」(国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/452-norovirus-intro.html 最終閲覧日2022年6月3日)

※参考 「ノロウイルスQ&A」(国立感染症研究所 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html 最終閲覧日2022年6月3日)

作業内容の想定

どのような作業を行うかによって、病原体に近づく・触れる(ばく露する)リスクが大きく変わります。具体的な作業を想定しておくことも重要なポイントです。

作業内容に応じた防護装備例

搬送などダイナミックな動きがある作業
大きく動いても肌や下衣が露出しない装備。
搬送などの、屈伸、前後左右への移動を伴う作業の場合は、前後左右からの飛沫や体液のばく露があっても、触れるリスクを低減する全身防護(つなぎ服)が合理的。
※ただし、熱中症になりやすいので注意が必要です。
クリティカルゾーンを限定できない作業
作業者の身体のうち、体液などへのばく露が重点的に発生する部位(=クリティカルゾーン)が定まらない場合は、つなぎ服などの全身防護服で、足元や首元も防護。
※ただし、熱中症になりやすいので注意が必要です。
消毒薬での除染作業
除染時の消毒薬が大量の場合は、耐浸透性の高い防護服を。
パーテーション越しの診察
パーテーション越しや動きが少ない椅子に座っての診察は、前面からの防護対策としてガウンが合理的。

防護服選択の3つのポイント
Point

病原体からの感染を防ぐためにはどのようにしたらいいのでしょうか。感染症に関わる作業の中で管理すべき対象は、ウイルスや細菌などです。これらの病原体は血液や体液といった液体や、空気中の浮遊粒子として作業者がばく露される可能性があります。安全な作業を遂行するには、病原体を含んだ液体や粒子が体内に侵入することを防ぐことが必要です。具体的には適切な防護装備を選択の上、適切に使用し、危険性のある液体・粒子が作業者の粘膜に付着したり、皮膚に接触したり、作業者が吸い込んでしまうことを避けるべきです。その防護具を選択するには次の3つのポイントがあります。

ポイント1:ばく露する部位を覆えること

ばく露する部位を覆い、感染経路を断ちましょう。作業中には思わぬところから感染性物質が降りかかってきます。作業内容に応じて適切な防護服・保護具を選びましょう。

防護服の種類

部分防護:ガウン

防護性能:低 作業性/快適性:高

全身防護:つなぎ型(+エプロン)

防護性能:中 作業性/快適性:中

全身防護:高性能つなぎ型

防護性能:高 作業性/快適性:低

部分防護服

髪が長い場合、あらかじめキャップを使用すると防護服のフードの着用が楽になります。

手袋と袖の隙間を覆うことができます。キャビネット内の作業などに適しています。

足元は、手とともに最も汚染される場所です。まっ先に脱衣することで、足元の汚染管理にもなります。

ポイント2:防護服素材に液体や粒子を容易に浸透させないバリア性があること

現在さまざまな防護性能、価格の製品が防護服として販売されていますが、防護服は見た目では防護性能は分かりません。人工血液の浸透しにくさなどのテストデータをもとに、選択・使用しましょう。

JIS T 8122:2015 生物学的危険物質に対する防護服
規格の中に、防護服素材がどの程度人工血液を浸透させにくいかを判定する試験項目があります。
これらの試験データをもとに、適切な防護服を選択・使用することが重要です。

素材の表側から人工血液を注ぎ圧力を加え、
裏側から漏れた時の圧力(時間)でクラス分けします。

試験圧力
クラス3:3.5kPa
クラス6:20kPa

ポイント3:作業中も防護性能を維持する高い耐久性があること

実際の作業では、防護服が壁や地面と擦れたり、使用している器具等の鋭利な部分が引っ掛かったりするなどして、防護服の素材の表面が摩擦、傷などの損傷を受ける場合があります。たとえ初期性能の優れた防護服でも安心せず、「作業を通して必要な防護性能を維持できるか」を考慮する必要があります。

赤間が選んだタイベック®ソフトウェアⅢ型は…

  • 全身を覆えるつなぎ型
  • 優れたバリア性
  • 擦れなどの損傷リスクに強い

作業時のリスク:擦れ

デュポン™タイベック®
表面的に繊維がほつれているものの、下層では影響が見られず、バリア性を維持しています。
多孔質フィルムラミネート
表面のフィルムが破損し、目の粗い繊維層が剥き出しになりました。

JIS T 8115既定の摩擦強さ試験(マーチンデール法)を実験後、電子顕微鏡で撮影

保護具の選定基準
Selection Criteria

マスクの選び方

マスク(呼吸用保護具)には、ボンベや作業場所以外の場所から空気の供給を受けるタイプと、作業している環境の空気をろ過して人が空気を吸うタイプがあります。
ここでは、主に粒子をろ過して着用者が呼吸をするタイプの一部をご紹介します。このタイプは、着用者の口元が陽圧になるタイプと陰圧になるタイプにわかれます。
陽圧になるタイプは、PAPR(Powered Air Purifying Respirators)といわれる、電動ファン付き呼吸用保護具で、電動ファンとバッテリーによって常に送風がされるため、自分の肺で空気を吸引する防じんマスクより楽に呼吸ができ、口元が陽圧に保たれるため、外気の漏れ込みが少なく、防護率の高い呼吸保護具です。※1
陰圧になるのは、N95マスクなどで、外部からの動力や圧縮空気などの供給を受けないタイプです。
※1 参考 厚生労働省「職場の安全サイト/安全衛生キーワード(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo93_1.html 最終閲覧日2022年6月3日)」

N95マスク

N95マスクは産業用として米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めたNIOSH規格に適合したマスクです。高い粒子捕集効率を有するマスクであることから、医療施設での感染症対策を目的としたマスクとして、使用を推奨される場合があります。※2
「N」はNot resistant to oil(耐油性がない)で、「95」は試験粒子であるNaCl粒子が95%以上捕集されることを意味します。形状はカップ式や折りたたみ式、弁付きや弁無しなどさまざまなタイプがあります。ひものかけ方としては後頭部や首の後ろの2か所に固定するタイプが多いです。

排気弁有無の違いとは?

排気弁付きマスクは、呼吸がしやすく、呼気による湿気が溜まりにくいのが特徴です。
ただし、着用者の呼気がフィルターを通さず外部に排気されるため、侵襲性のある手術や処置を行う場合等、無菌環境を維持する必要がある場合においては使用できません。

N95マスクの役割とは?

空気感染源を捕集し、着用者の呼吸器感染のリスクを低減することです。
空気感染は、咳やくしゃみ等によって放出された飛沫の水分が蒸発して直径5μm以下の飛沫核となったものが、飛散し、病原体が空気の流れによって運ばれ、これを肺に吸入することにより感染します。空気中に浮遊している時に長距離を経て感染性を維持する感染性病原体は、麻疹ウイルス、水痘ウイルス、ヒト型結核菌であり、新型コロナウイルス感染症にも可能性があるといわれています。※3

※2 出典(公社)産業安全技術協会 「マスクに関するよくあるご質問(https://www.tiis.or.jp/faq_mask/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

※3 出典(一社)職業感染制御研究会 「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識とカタログ集 2022年版(http://jrgoicp.umin.ac.jp/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

DS2マスク

DS2マスクは産業用として日本の厚生労働省が定めた国家検定規格に適合したマスクです。※4
「D」はDisposable(使い捨て式)、「S」はSolid(固体粒子)、「2」はNaCl粒子が95%以上捕集されることを意味します。
米国規格のN95に相当するものとして一般に認識されていますが、日本で産業用として使用するには、米国規格のN95マスクではなくDS2などの日本の検定合格品を使用しなければなりません。
高い粒子捕集効率を有するマスクであることから、医療施設での感染症対策を目的としたマスクとして、使用を推奨される場合があります。※4

※4 出典(公社)産業安全技術協会 「マスクに関するよくあるご質問(https://www.tiis.or.jp/faq_mask/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

一般用マスク、医療用マスク(サージカルマスク)について

サージカルマスクとは、医療用に使用するマスクです。
従来、米国の食品医薬品局(FDA:Food & Drug Administration)が医療機器として定めているマスクのことを指し、日本国内では公的規格・基準は整備されていませんでした。
2021年6月16日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、マスクの性能及び試験方法について標準化を図り、使用者が安心して購入できるよう、医療用及び一般用のマスクを対象としたJIS T9001(医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法)、コロナ感染対策に従事する医療従事者用のマスクを対象としたJIS T9002(感染対策医療用マスクの性能要件及び試験方法)が制定されました。
医療用マスクに必要な捕集機能、人工血液バリア性について、クラスⅠ、Ⅱ、Ⅲの3つにクラス分類し、また、共通の圧力損失(通気性)、安全・衛生項目を規定しています。※5

・患者の呼吸器分泌物、血液・体液が飛散し、医療従事者の鼻口腔粘膜がこれにばく露するリスクがあるとき。
・清潔操作を要する処置を行う際に、医療従事者が口や鼻に保菌している感染性病原体に患者がばく露しないために。
・飛沫予防策を行う必要性がある患者病室の入室前に。
・咳・くしゃみ・鼻水のあるときの咳エチケットとして。※6

※5 出典 経済産業省「マスクの日本産業規格(JIS)が制定されました(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210616002/20210616002.html 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

※6 出典(一社)職業感染制御研究会「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識とカタログ集 2022年版(http://jrgoicp.umin.ac.jp/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

電動ファン付き呼吸用保護具について

PAPRと呼ばれる、産業用として日本の厚生労働省が定めた国家検定規格に適合したマスクです。
タイトフィット面体形(呼吸用保護具が装着者の顔面に密着させる構造)やフードタイプ等のルーズフィット形(呼吸用保護具が装着者の顔面に密着しない構造)があります。
付属のバッテリーにより電動ファンを稼働させ、環境中の空気を高性能なフィルターでろ過して清浄な空気を面体内やフード内に供給するため呼吸がしやすくなっています。
N95マスクは装着者の呼吸によりフィルターでろ過した清浄な空気を吸気するもので、吸気時にはN95マスク内が常に陰圧になるため、顔とN95マスクが十分にフィットしていないとフィルターを通っていない空気が漏れて入ってくる可能性があり、感染リスクを高めます。しかしPAPRは電動ファンの送風量により面体内が陽圧となり、空気が漏れて入ってくることがなくなり安全が確保される呼吸用防護具です。※7

日本環境感染学会が発表している「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第3版」では、感染対策の個人用防護具として『一時的に大量のエアロゾルが発生しやすい状況においては、サージカルマスクの代わりにN95マスク(またはDS2などN95と同等のフィルター性能を有するマスク)あるいは電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)を追加します』と記載されています。

※7 出典(一社)職業感染制御研究会 「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識とカタログ集 2022年版(http://jrgoicp.umin.ac.jp/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

眼の保護具の選び方

ゴーグル、フェイスシールドは湿性生体物質の飛沫が飛散する場合に、それに含まれる病原体によるばく露から眼・鼻・口の粘膜を防護します。
ゴーグルは、眼の粘膜全体を密閉することができますが、顔面の他の部位への跳ね返りや飛び散りに対する防護性能はありません。また製品によっては曇ってしまったり、視野が狭くなったりする場合があります。
フェイスシールドは、製品の形状によっては、鼻腔、口腔粘膜も同時に防護し、側頭面への跳ね返りや飛び散りも減少させます。通気性が良い反面、下方からの汚染を受けやすいといった特徴があります。
ゴーグル・フェイスシールドは、通常単体で使用することはなく、サージカルマスク・N95マスク・手袋など他の保護具と組み合わせて使用します。

目の保護が必要な場面

①飛沫粒子が広範囲に飛散する可能性が大きい場合
②臨床現場などで医療器具操作時に内容物が飛び出したり、跳ね返ったりしてばく露される可能性がある場合

※「眼の保護具の選び方」: 出典(一社)職業感染制御研究会 「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識とカタログ集 2022年版(http://jrgoicp.umin.ac.jp/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

手袋の選び方

手袋は、手指を血液や体液などの感染性物質による汚染から守り、また、着用者の手指から患者などへ微生物の伝播を防ぐ役割を果たします。
手袋の種類には、手術用手袋、検査・検診用手袋、多用途手袋などがあります。
医療用手袋は、薬機法により製造販売が規制されている他、ASTM規格・EN規格・JIS規格が存在し、手袋の素材や用途別に、ピンホールの判定、劣化前後の最大伸張度、寸法(厚み・長さ・幅)、パウダー量などが規定されています。

手袋の素材による特性と用途

主材料
(原料)
天然ゴムラテックス
(ゴムの木の樹液)
ニトリル
(石油)
ポリ塩化ビニル
(石油)
用途 手術などの指先を用いるような細かい作業 ラテックスアレルギー対策、検査、健診、
ケア、薬品の取り扱い時など
ラテックスアレルギー対策、感染物質による
汚染リスクの少ない短時間の作業
バリア効果 強度、耐久性に優れている。穴あきに強いが
尖ったものでは穴があく。洗剤などに対して防御効果がある。
穴あきや破れに対する抵抗性に優れている。
化学薬品に対する防御効果が優れている。
穴あきや破れに弱い。尖ったもので容易に
穴があく。化学薬品に弱い。
装着感 高い伸縮性で装着感は良好。
フィット感に優れている。
高い伸縮性で装着感は良好。ラテックスより
やや圧迫感を感じ、フィット感に劣る。
伸縮性は低い。手首周りの寸法がゆるい。
アレルゲン ラテックス蛋白、化学物質(加硫促進剤など) 化学物質(加硫促進剤など) 化学物質(可塑剤など)

※「手袋の選び方」: 出典(一社)職業感染制御研究会 「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識とカタログ集 2022年版(http://jrgoicp.umin.ac.jp/ 最終閲覧日2022年6月3日)」より引用

必要な防護服・保護具が揃ったキットを選ぶ!

管理がしやすく、必要なときに必要な数量を過不足なくスムーズに配布もできる!

リスクや作業内容に応じた
防護服・保護具をイチから選びたい!

例えば…、
・消毒や洗浄作業など水をたくさん使う作業に適したもの
・最低限の部位を防護できて簡単に着用できるもの
・機器操作等、細かな作業がしやすい手袋 etc.

適切な保護具を選んだら、適切な使い方を知りましょう!

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